2005 Fiscal Year Annual Research Report
ECM蛋白質の膜受容体への結合と情報伝達機構の分子基盤の解明
Project/Area Number |
05J09821
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安井 典久 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リーリン / ApoER2 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
ECM蛋白質リーリンとその受容体(ApoER2)を対象に,細胞膜受容体を介したECM蛋白質による情報伝達機構の分子基盤の解明に取り組んだ.リーリンとApoER2の双方について,タンデムな繰り返し構造を考慮して断片の設計を行い,動物細胞で発現させて設計した断片の培地への分泌の可否を調べた.リーリンとApoER2の相互作用を評価できる実験系として,ApoER2断片を固定化したビーズを用いた固相結合実験(pull-down assay)系を確立した.動物細胞で調製したリーリンとApoER2の断片の相互作用をpull-down assayで解析した結果,相互作用における最小構造単位(R5-6)をリーリンとApoER2の両方で決定することができた.決定したリーリンの受容体に結合する最小領域の断片について,マウス胎児ニューロンの初代培養に投与した結果,R5-6は受容体結合活性を有しているだけでなく,ニューロンに対しても作用する活性を持っていることが分かった. リーリンの一次構造に見られる特徴的なリピート構造(リーリンリピート)の立体構造についてはこれまで全く明らかにされていなかった.非常に効率よく分泌されるリーリンの断片について,安定発現株の構築と精製・結晶化を行い,X線結晶構造解析により,立体構造を明らかにすることができた.さらに活性を有する断片であるR5-6についても結晶構造を明らかにすることに成功した. リーリンと受容体の複合体の結晶構造解析を目的に,複合体の精製条件の検討を行った.高純度に精製することに成功し,すでに結晶化条件の探索を行っている.
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