2005 Fiscal Year Annual Research Report
一次視覚野および外側膝状体における刺激文脈依存的な反応修飾のメカニズム
Project/Area Number |
05J09825
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
定金 理 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経科学 / 大脳皮質一次視覚野 / 外側膝状体 / 受容野 / 電気生理学 |
Research Abstract |
大脳皮質一次視覚野(V1)の神経細胞は視覚刺激のサイズに対する選択性を示す。最大反応を生じる刺激サイズをその神経細胞の受容野サイズと呼ぶ。また、受容野サイズより大きな刺激を呈示すると反応の減少が見られ、この現象を周辺抑制と言う。私は麻酔非動化したネコV1において単一神経細胞活動を記録する実験を行い、V1細胞の刺激サイズ選択性が刺激の時間周波数に依存して変化することを見出した(N=53)。最適な時間周波数の場合と比較して、より高い時間周波数(より速い動き)の場合には受容野サイズが拡大し、周辺抑制が減少する傾向が見られた。 更に、刺激サイズを変えた場合の時間周波数選択性の変化を調べる実験を行い、刺激サイズが大きい場合には時間周波数選択性がより高い周波数側にシフトするという結果を得た。この結果は上記のサイズ選択性の変化と対応したものであると考えられる。 最後に、V1に対して興奮性入力を送る視床外側膝状体(LGN)においても同様の実験を行い、高い時間周波数刺激において受容野サイズの拡大と周辺抑制の減少が生じていることを確認した。これは視床レベルでの変化がV1で見られる応答変化に関与していることを示唆する結果である。 時間周波数に依存したサイズ選択性の変化という今回我々が見出した現象の機能的意義として、以下のようなことが考えられる。視覚系は、速い動きの視覚刺激の場合にはより広い領域からの情報を集めることで検出力を高め、逆に遅い動きの場合にはより限局した領域の情報のみを見ることで詳細な情報処理を行う。また今回の結果は、視床-皮質結合の様式を考えるためにも極めて重要な知見である。
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Research Products
(1 results)