2005 Fiscal Year Annual Research Report
下部マントルはミッシングゼノンの在処か?〜地球化学的・物質構造科学的アプローチ
Project/Area Number |
05J09855
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
工藤 康晴 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マントル / 希ガス / カーボナタイト |
Research Abstract |
CO_2を主成分とする特異なマグマであるカーボナタイトの一部はマントル起源であることが知られている。カーボナタイトは世界各地で産出し、ウラン鉱物などを含むため正確な年代情報も得やすく、炭素や窒素など揮発成分の安定同位体を含めて岩石学的・地球化学的に重要な元素の存在度や同位体組成の分析対象としても最適であることなど、地球進化の研究対象として多くの利点がある。過去に行われた研究で、マントル岩に含まれる燐灰石が特殊な希ガス組成を持つという報告がなされており、カーボナタイト的なメルトはマントルの希ガス情報を読み取ろうとする試みは、過去に何度か行われているが、試料が大量にCO_2を含むことや、二次的な放射起源成分が捕獲成分を凌駕することなど、実際の測定には実験的な問題から正確な情報判断が必要とされる。今回の研究で私は、フィンランド、シリンヤルウィ鉱山で採取された、年代が25億年という、地球上で最も古いカーボナタイトを対象にし、地球史前半の希ガス同位体情報を明らかにすべくアプローチしている。現在までに得た結果からは、カーボナタイト中の燐灰石と炭酸塩鉱物から非常に大量の^4Heが観測され、それに対して同試料に含まれる^3Heが検出できないくらい少量であること、全試料から非常に高い^<40>Ar/^<36>Ar比が得られ、中でも燐灰石からは30000という有意に高い^<40>Ar/^<36>Ar比が得られたこと、ゼノンの同位体異常が発見され、試料毎にその異常のパターンが異なり、炭酸塩鉱物からは^<129>Xeと^<131-136>Xeの同位体異常が観測されたのに対し、燐灰石や角閃石からは有意な129Xeの異常が見られなかったことなどが挙げられる。これらの結果から、カーボナタイトに含まれる希ガス成分がin situ成分なのか、trapped成分なのかを議論した。
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