2005 Fiscal Year Annual Research Report
強相関電子系における軌道フラストレーションと幾何学的フラストレーションの役割
Project/Area Number |
05J09872
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉岡 匠哉 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 強相関電子系 / 幾何学的フラストレーション / チェッカーボード格子 |
Research Abstract |
近年の物質合成技術の発展により幾何学的フラストレーションをもつ物質が系統的に合成され、フラストレーションの役割に再び大きな注目が集まっている。本年度は幾何学的フラストレーションを持つ系に注目し、スピン・電荷の自由度がもたらす物性を系統的に理解することを目的として研究を行った。特に、幾何学的フラストレーションのあるチェッカーボード格子上の相関電子系を取り上げ、その基底状態について経路積分繰り込み群法を用いた解析を行った。まず、スピンと電荷の秩序状態に対する不安定性について議論するため、それぞれの自由度に関する相関関数について計算を行った。その結果、電荷の相関は一様に抑制され、スピンの相関が強調されることがわかった。この結果は、これまで提案されていた電荷秩序状態が系の基底状態として実現するという解析結果と異なるものである。この研究成果は2005年7月にオーストリアのウィーンで開かれたSCES'05 (Strongly Correlated Electron Systems)において発表した。また、格子の形状を有効的に変化させることでこの系における幾何学的フラストレーションの役割に関する系統的な解析を行った。その結果、幾何学的フラストレーションが比較的小さい場合には1次の金属絶縁体相転移が実現することがわかった。
|