2005 Fiscal Year Annual Research Report
超長寿命・高エネルギーの電荷分離状態を有する分子を用いた触媒的光酸化還元反応
Project/Area Number |
05J09910
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小谷 弘明 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光合成 / 電子移動状態 / 光エネルギー / 水素 / 酸素 / 過酸化水素 / 分子触媒 / 光触媒 |
Research Abstract |
本研究では光合成が行っている光エネルギーから化学エネルギーへの変換を目指して、まず必要とされる長寿命・高エネルギー電荷分離状態を生成する光触媒の開発を行い、さらにはその電荷分離状態を利用した光触媒反応について検討した。また、水を電子源とした効率的な光エネルギー変換システムの構築も目指して水の完全分解反応へと展開を行う予定である。 本年度はアクリジニウムイオン(電子受容体)の9位に直接電子供与体を連結した分子を光励起すると非常に長寿命の電子移動状態が生成し、この生成種は三重項の励起状態ではないことを証明した。還元能力を高くするために、アクリジニウムイオンだけでなくキノリニウムイオンも用いた連結分子の開発・評価を行った。その結果、同様にキノリニウムイオン連結分子も長寿命の電子移動状態を生成し、基底状態の連結分子とダイマーラジカルカチオンを形成する事を見出した。 一方、その電子移動状態は強力な酸化還元剤とみなすことができ、光触媒として用いることで化学エネルギーへの変換反応への展開を行った。まずアントラセンなどの芳香族化合物を電子源とする酸素から過酸化水素の発生に成功した。この場合、安価なコールタールからも過酸化水素が生成することを確認しており、新たな過酸化水素製造プロセスとして期待できる。またビオローゲン修飾白金クラスターを用いたNADHを電子源とする高効率な水素発生系の構築も行った。 現在、光エネルギー変換が可能である光触媒、高効率な水素発生系の開発に成功し、水を完全分解するためには水を酸化することのできる分子触媒の開発が必要不可欠である。今後、この分子触媒について検討を行う。
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Research Products
(1 results)