2006 Fiscal Year Annual Research Report
超長寿命・高エネルギーの電荷分離状態を有する分子を用いた触媒的光酸化還元反応
Project/Area Number |
05J09910
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小谷 弘明 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光合成 / 電子移動状態 / 光エネルギー / 水素 / 酸素 / 過酸化水素 / 分子触媒 / 光触媒 |
Research Abstract |
本年度は水の完全分解に向けて超長寿命・高エネルギー電子移動状態を有する分子である9-メシチルアクリジニウムイオン(Acr^+-Mes)を光触媒として水素発生系の開発に重点をおいて研究を行った。また得られた結果は雑誌論文への投稿だけでなく、特許出願も併せて行った。 Acr^+-Mesを光触媒として用いることで、このピオローゲン無しでも白金触媒への電荷移動が可能であることから、その水素発生効率の最適化、及び反応機構の解明を行った。その結果、我々が開発した水素発生系は世界最高値の光量子収率で水素発生していることが判明した。また、水素発生触媒である白金触媒の電子移動速度を詳細に検討した結果、その過程にpH依存性と逆同位体効果が観測されたことからプロトン共役電子移動によって白金への電子移動が起こっていることが分かった。 次にAcr^+-Mesよりもさらに高い還元能力を有するメシチルキノリニウムイオン(Qu^+-Mes)は非常にコンパクトな分子であり、同様に長寿命の電子移動状態を生成する。一方、ゼオライトなどの多孔性物質は均一の細孔を有しており、カチオン性の分子であれば容易にイオン交換することができる。そこで、カチオン性の電子移動型光触媒であるAcr^+-Mes、Qi^+-Mesのゼオライトへの挿入を試みた結果、サイズ選択的にQu^+-Mesのみゼオライトへの担持に成功した。その結果、ゼオライト細孔内に担持されたQu^+-Mesは室温付近でも非常に長寿命の電子移動状態を観測することができた。
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Research Products
(4 results)