2007 Fiscal Year Annual Research Report
超長寿命・高エネルギーの電荷分離状態を有する分子を用いた触媒的光酸化還元反応
Project/Area Number |
05J09910
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小谷 弘明 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光合成 / 電子移動状態 / 水素 / 酸素 / 過酸化水素 / 分子触媒 / 非ヘムオキソ錯体 |
Research Abstract |
本年度は研究課題の最終目標である水の完全分解に向けて超長寿命・高エネルギー電子移動状態を有する分子である9-メシチルアクリジニウムイオン(Acr^+-Mes)を光触媒とした光触媒反応の開発、特に水素発生系の開発に重点をおいて研究を行った。また、水の完全分解に用いる酸化触媒として非ヘムオキソ錯体に注目し、これまで未解明であったその電子移動特性について検討を行った。 得られた結果は雑誌論文への投稿だけでなく、学会での発表及び、特許出願も併せて行った。 (1)Acr^+-Mesを光触媒として用いることで、安価なコールタールと酸素から過酸化水素が生成することを確認しており、新たな過酸化水素製造プロセスとして期待できる。【Appl. Catal., B: Environ.2008,77,317】 (2)これまでAcr^+-Mesを用いた光水素発生システムの開発を行ってきたが、その反応機構解明を行った。また、この水素発生触媒には高価な白金を用いていたことから、代替白金触媒の開発としてヒドロゲナーゼに代表される酵素と同様に鉄を用いた触媒開発、及びその光水素発生への応用を行った。その結果、合成した水溶性鉄コロイドからの水素発生に成功した。【特願2007-247656】 (3)非ヘム鉄(IV)オキソ錯体は、生体内酸化酵素であるオキシゲナーゼの反応中心における活性種として機能している。近年、そのモデル錯体の構造が明らかになり、構造及び、機能モデル研究が注目を集めている。しかし、非ヘム鉄(IV)オキソ錯体の反応性を理解する上で重要な電子移動特性は報告されていない。そこでフェロセン類と非ヘム鉄(IV)オキソ錯体との電子移動反応から、その電子移動特性を決定した。 【J. Am. Chem. Soc,2008,130,434】
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Research Products
(5 results)