2006 Fiscal Year Annual Research Report
不活性結合切断を経る新しい触媒的官能基化反応の開発
Project/Area Number |
05J09917
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上野 聡 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ルテニウム触媒 / 不活性結合切断 / 炭素-水素結合切断 / 炭素-窒素結合切断 / 炭素-炭素結合切断 |
Research Abstract |
不活性結合を切断し炭素-炭素結合を形成する反応は、有機合成化学における重要な研究課題の一つである。近年、当研究グループでは、ルテニウム触媒存在下、カルボニル基の分子内配位を利用することで、不活性な炭素-水素結合や炭素-酸素結合を切断し、炭素-炭素結合へと変換できることを報告してきた。今年度は、去年得られた実験結果を基に炭素-水素結合選択的な官能基化反応の開発と、炭素-窒素結合の切断を経るカップリング反応の開発を行った。 1、ルテニウム触媒による、炭素-水素結合選択的なアルケニル化反応の開発 RuH_2(CO)(PPh_3)_3触媒存在下、オルトメトキシアセトフェノンとアルケニルホウ素化合物との反応をトルエン還流条件下で行ったところ、炭素-水素結合とアルケニルホウ素化合物との反応によるアルケニル化反応が進行した。この結果、炭素-水素結合が炭素-酸素結合よりも切断されやすいという以前報告した結果に一致する。また、これは炭素-酸素結合よりも結合エネルギーの大きい炭素-水素結合のみを選択的にアルケニル化することが可能である、という興味深い結果である。 2、ルテニウム触媒による、炭素-窒素結合切断を経る炭素-炭素結合生成反応の開発 RuH_2(CO)(PPH_3)_3触媒存在下、2-ジメチルアミン-6-メチルアセトフェノンとアリールホウ素化合物との反応をトルエン還流条件下で行ったところ、炭素-窒素結合切断を利用して、炭素-炭素結合形成を触媒的に行うことが可能である。この型の触媒反応はこれまでに報告例が無い新規反応である。この反応の基質の適用範囲も広く、さまざまな有機ホウ素化合物を用いることができることがわかった。例えば、フェニルボロン酸エステルのパラ位にジメチルアミノ基、メトキシ基、フッ素基、トリフルオロメチル基を有していても、官能基を損なうことなく目的生成物を高収率で与える。また立体的に込み入った2-トリル化や1-ナフチル化反応も、高収率(80-99%)で進行する。
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Research Products
(1 results)