2007 Fiscal Year Annual Research Report
不活性結合切断を経る新しい触媒的宮能基化反応の開発
Project/Area Number |
05J09917
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上野 聡 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ルテニウム触媒 / 不活性結合切断 / 分子内配位 / 炭素-窒素結合切断 / 炭素-炭素結合形成 |
Research Abstract |
不活性な結合を炭素-炭素結合へと直接変換する反応の開発は、有機合成化学において、重要な研究課題の一つである。近年、当研究室では、芳香族ケトンのカルボニル酸素の遷移金属への分子内配位が、不活性な炭素-水素および炭素-酸素結合の切断に有用であることを見出している。また昨年度までに、不活性な芳香族炭素-窒素結合とアリールホウ素化合物とのカップリング反応も見出している。本年度は、この炭素-窒素結合の切断を経る反応の更なる展開として、ヘテロアリール、アルケニル、アルキルホウ素化合物とのカップリング反応の開発を行った。 オルトジメチルアミノピバロフェノンと2-フリルボロン酸エステルとの反応を、RuH_2(CO)(PPh_3)_3触媒を用い、トルエン還流条件下で行ったところ、ジメチルアミノ基が2-フリル化された化合物を収率56%で得た。この反応では、ヘテロアリール基として、フラン環以外にもチオフェン環やピリジン環の導入が可能である。また様々な位置に置換基を有するアルケニル基を導入することもできることを見出した。さらに、種々のアルキルボロン酸エステルを用いることも可能であった。興味深いことに、α位にトリメチルシリル基やアミノ基を有する場合やシクロプロピル基、β水素脱離を有するフェネチル基も導入可能であった。脱離基としては、窒素-水素結合を有する基質でも、保護基を用いることなく選択的にフェニル化反応が進行した。本カップリング反応において、ケトンのカルボニル基以外に、エステルのカルボニル基も配向基として利用することができた。 このように、本年度は、不活性な芳香族炭素-窒素結合をさまざまな炭素-炭素結合へと変換する効率的な触媒反応の開発に成功した。この反応は炭素-窒素結合切断を経る触媒反応の初めての例である。
|
Research Products
(5 results)