2006 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線損傷DNAの修復を目的とした機能性分子の開発
Project/Area Number |
05J09932
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 安希 (稲瀬 安希) 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 紫外線損傷 / (6-4)光産物 / distamycin A |
Research Abstract |
本研究は紫外線損傷である(6-4)光産物を塩基除去修復に載せるための初めの反応を引き起こす薬物を開発し、紫外線損傷に対する人工的な修復系を創成することを最終目的とする。前年度は蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を用いて構造解析を行い、(6-4)光産物を有するDNAにdistamycin Aが結合しても大きな構造変化が観測されなかったことを報告し、この結果から(6-4)光産物を認識するヒトDDBタンパクとは異なった認識機構である可能性が出てきた。本年度はゲル電気泳動によりさらなる構造解析を行うとともに、様々なタイプの損傷DNAを用いてdistamycin Aとの結合を表面プラズモン共鳴(SPR)により観測し、ヒトDDBタンパクとの認識の比較を行った。 ゲル電気泳動の結果はFRETの結果を支持するものとなった。SPRではabasic site analog、8-oxo-G、mismatchなど様々な損傷を有するDNAを用いてdistamycin Aとの結合を調べたところ、ヒトDDBタンパクが認識する損傷とdistamycin Aが認識する損傷は異なっていることが明らかとなった。さらに今回得られた結果を塩基対の化学構造で比較してみると、通常のターゲットサイトであるAATTに対する認識と同様にminor grooveの化学構造を認識していることが明らかとなった。また共同研究によりdistamycin Aは(6-4)光産物を有するDNAに1:1で結合していることがNMRにより示唆された。 現在distamycin Aの結合のstoichiometryをより明確にするためにX線結晶構造解析を行うことを考え、結晶化に取り組んでいる。また、distamycin Aでは特異性を見出せなかったので、(6-4)光産物を有するDNAにのみ特異的に結合するような化合物を新たに開発する予定である。
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