2006 Fiscal Year Annual Research Report
非線形ダイナミクスによる多様な自己組織化秩序形成の開拓と三次元ナノ構造の構築
Project/Area Number |
05J09933
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長井 智幸 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電気化学 / 振動現象 / 金属電析反応 / 界面 |
Research Abstract |
電気化学反応系では時間的・空間的に電流や電位が自発的に振動する現象が数多く存在する。その中でも金属析出や金属溶解を伴う電気化学振動現象は反応の履歴が構造物として固定化されるため、新たな構造形成法として非常に興味深い。 これまでの研究でカチオン性界面活性剤を含む水溶液からCuSnを一定電位で電析させると、界面活性剤の吸着と脱離が繰り返されることで電流振動が生じ、ナノスケールの多層膜が形成されることがわかっている。本年度は数値シミュレーションを用いた電気化学パターンの出現メカニズムを参考に、振動電析反応の電気化学パターンを制御して3次元構造の形成および構造物の観察を試みた。 また、Si表面上へのCuの振動析出反応についても研究を行った。Cu^<2+>イオンを含むフッ酸水溶液にp型Siを浸漬するとCuの無電解析出反応にともない開回路電位(浸漬電位)が自発的に振動する。そして、反応条件を選べば規則振動だけではなくカオス振動が現れることを見出している。規則振動中の反応位相は電極全体で同期しているが、カオス振動中の反応位相は電極表面の場所によって異なると考えると、カオス振動中に様々なパターンが析出物として形成されると期待される。また、実験を通して位相が同期する理由を知ることで反応の空間分布を制御するために重要な情報が得られると考えられる。そこで、まず溶液中のHF濃度や金属イオン濃度などのパラメータを変えたときの振動挙動や表面構造のSEM観察から規則振動メカニズムを提案した。この規則振動メカニズムはSiの溶解反応とCuの析出反応に密接に関係しており半導体分野の研究にも有用である。カオス振動が現れる理由については検討中である。
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Research Products
(2 results)