2007 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース合成酵素複合体(ロゼット)の全構成蛋白質の遺伝子同定及び機能の解析
Project/Area Number |
05J09948
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 聡志 Osaka University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 植物 / セルロース / 膜蛋白質 |
Research Abstract |
植物のセルロース合成は二酸化炭素を固定する事から大気中の二酸化炭素軽減や、近年ではエネルギー資源としても注目されている。古くからセルロース合成の分子メカニズムを追及する研究は行われてきたが、未だにそのほとんどが未知のまま残されている。形態学的観察から植物の細胞膜に存在する巨大膜蛋白質複合体、ロゼット、がセルロース合成酵素複合体だろうと考えられてきた。しかしながらそれの機能解析は植物組織からのロゼット分離・精製が成功しなかった為に進まないでいた。これまでに私はアズキ芽生え上胚軸からロゼットの単離に初めて成功した。そこで初めて生化学的解析が可能になり、微弱ながらもロゼット画分にはセルロース合成能を有する事が示唆された。また電子顕微鏡観察によりロゼット構造から合成されたと思われるセルロース繊維が観察された。より高い酵素活性検出を試みて今後もプロトコール改良を進めていく。 また、ロゼット画分を用いて質量分析のMALDI-TOF解析を行い、ロゼット画分に含まれる蛋白質の解析を行った。PMF (peptide mass fingerprint)解析により、ロゼット画分には多くの機能未知蛋白質が含まれている事が明らかになった。一方で機能既知の蛋白質であるsucrose synthase, alpha tubulin, beta tubulin, actin, p-type ATPase, V-ATPaseの蛋白質なども含まれている事も判明した。これはロゼットが微小管依存的にセルロース合成を行うメカニズムに関わる因子が備わっていることを示唆するのかもしれない。またsucrose synthaseは古くからセルロース合成の基質(UDP-Glucose)を供給する蛋白質だと考えられてきており、今回の結果からロゼット構造に含まれるかあるいは近傍に存在する可能性が示唆された。
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