2005 Fiscal Year Annual Research Report
ネクチン-アファディン系による細胞間接着の形成と破壊の分子機構
Project/Area Number |
05J09953
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大塩 貴子 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞間接着 / 細胞極性 / アドヘレンスジャンクション / タイトジャンクション / ネクチン / アファディン / Par-3 / アクチン細胞骨格 |
Research Abstract |
多細胞生物において細胞間接着は、発生過程における組織構築や正常組織の維持など、多くの生命現象に重要な細胞機能である。私共は、上皮細胞において接着分子ネクチンがまず細胞間接着を形成し、その部位に接着分子カドヘリンをリクルートしてアドヘレンスジャンクション(AJ)、タイトジャンクション(TJ)、および細胞極性の形成を制御することを明らかにしている。本研究では、ネクチン-アファディン系によるAJとTJ形成の分子機構を解析し、以下の成果を得た。 (1)ネクチンは、低分子量Gタンパク質Rap1、Cdc42、Racを活性化し、アクチン細胞骨格を再編成してAJ構成因子をネクチンによる細胞間接着部位にリクルートする。また、ネクチンによってその接着部位にリクルートされたアファディンは、AJの接着力を強め、TJの形成に関与していることを明らかにした。さらに、TJ形成にはカドヘリン依存性の細胞接着が必須であると考えられていたが、ネクチン依存性の細胞間接着が不可欠であり、カドヘリン依存性の細胞接着が必ずしも必要でないことを明らかにした。 (2)ネクチンとアファディンの結合には、細胞極性因子Par-3が必要であった。また、ネクチンによるAJとTJの形成には、アファディンとPar-3が協調的に働いており、その過程はカドヘリン非依存的であることも明らかにした。 以上の結果から、AJとTJの形成および細胞極性の形成には、ネクチン-アファディン系と細胞極性因子Par-3が必要であることを明らかにした。
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