2006 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン6によって制御されるT細胞と樹状細胞の機能解析
Project/Area Number |
05J09955
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 貴之 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己免疫疾患 / IL-6 / 制御性T細胞 |
Research Abstract |
本研究においてはIL-6シグナル異常により関節炎を発症するF759マウスの自己免疫疾患へのT細胞の関与について研究してきた。その中でも今年度は自己免疫疾患発症に重要な役割を持つ制御性T細胞について検討を行った。その結果、一般的に知られているCD4+CD25+の制御性T細胞の細胞数、T細胞活性化の抑制能に関しては野性型マウスのものと、F759マウス由来の制御性T細胞において差が認められなかった。しかし、CD8+CD25+、かつ、制御性T細胞のマスター遺伝子である転写因子Foxp3+の細胞群が関節炎を発症したF759マウス生体内において増加している事が明らかとなった。このような細胞集団に関する報告はほとんどなく、生体内でIL6シグナルにより正に制御されている細胞集団である可能性が示された。 さらに、この細胞群の分化がIL6シグナルによって制御されているかどうかを詳細に検討するため、試験管内においてFoxp3陽性CD8T細胞を誘導する実験系を構築し、その培養i系にIL6を添加する事により、IL6シグナルがこの細胞群に与える影響を検討した。その結果、IL-6を添加して培養した群では顕著にFoxp3+CD8T細胞が増加しており、IL6シグナルがこの細胞群に正の制御を与えている事が明らかとなった。さらにIL6の受容体であるgp130から発生するSTAT3のシグナル経路とMAPKのシグナル経路のどちらがFoxp3+CD8T細胞の誘導に関わっているかを検討するため、gp130分子に変異を導入したF759マウス(MAPK経路が消失、STAT3経路は亢進)より調整したCD8T細胞をFoxp3+細胞へ分化させると、その分化は野性型CD8T細胞と比較して非常に亢進していた。さらにSTAT3KOのCD8T細胞ではFoxp3+細胞はほとんど誘導されなかった。 以上の結果よりFoxp3+CD8T細胞はIL6を介したgp130-STAT3のシグナル伝達経路により正に制御されている事を示した。今後の研究期間で、この細胞群が生体内においてどのような制御活性を持っているかについて疾患モデルを用いた解析を行う事を検討している。
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