2005 Fiscal Year Annual Research Report
細菌べん毛フックの自己構築と形態変換スイッチ機構の解明
Project/Area Number |
05J09971
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
守屋 奈緒 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サルモネラ / べん毛 / フック / 形態変換スイッチ / 長さ制御機構 |
Research Abstract |
1.フックの形態変換スイッチ機構 細菌べん毛フックはダイナミックな形態変換機構を備えた自在継ぎ手である。本研究室のSamateyらによりフックの原子モデルが構築され多型変換のしくみが提案されたが、実験的には検証されていない。そこでその検証を目指すため、DNA-shuffling法によりプラスミド上のflgEに変異を誘発し、運動能が低下した多数のフック変異体を得た。DNA塩基配列を解析し、flgE内に複数の変異を確認した。現在、得られた突然変異を一つずつ単離している。 2.フックの長さ制御 サルモネラのフックの長さは約55nmと比較的良く制御されている。フック長の異常は自在継ぎ手としての機能を損ない運動能を低下させる。その長さ制御機構には、フック長制御蛋白質FliKと輸送装置構成蛋白質FlhBが関わっているが、詳細なしくみは解明されていない。そこで、輸送基質でもあるFliKとフック構築に関わる蛋白質との相互作用をアフィニティーブロットにより調べた結果、FliKはフックキャップFlgDとは強く、FlgEとは弱く相互作用した。すなわち、FliKは構築中のフックと直接相互作用し、フックの構築状況を確認して輸送装置に伝えると考えられる。 上の結果は、FlgEの変異がフックの長さ制御機構に影響を及ぼすことを示唆する。そこでべん毛繊維を持つが運動能の低いflgE変異株を単離したところ、フック長が野生株より短く、しかもFlgEの大量分泌が確認され、FlgEの重合能低下が示唆された。またFlgEの大量発現によりフック長の分布が長い方向へシフトした。これらの結果から、FliKのフック長計測能力がそれほど正確ではないこと、FlgEの重合速度やFliKの輸送頻度が長さ制御において重要な因子であることが示唆された。今後、FliKと相互作用するFlgEとFlgDの領域を同定する予定である。
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Research Products
(1 results)