2005 Fiscal Year Annual Research Report
左右非対称な形態形成に関与する新規遺伝子226の機能解析
Project/Area Number |
05J09977
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 貴子 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 226 / 左右異常 / 心奇形 / Pitx2 |
Research Abstract |
我々の研究室で単離された新規遺伝子226の生体における機能を調べるため、ノックアウトマウスが作製されたところ、226ノックアウトマウス(226 KO)は胎生致死であり、重度の心臓奇形、心臓大血管の異常が観察された。特に興味深い表現型として、左右の異常である左側相同が、高頻度に心房と肺において観察された。 まず、心臓大血管が形成され始める10.5日胚から、流出路が大動脈と肺動脈に別れる12.5日胚において、226 KO胚の心臓の切片を作成し、観察したところ、将来の肺動脈になる第6大動脈弓が見られず、大動脈と肺動脈を分ける中隔も螺旋状に形成されていなかった。また、心房、心室の中隔を形成するための心内膜クッション異常が見られた。これらの結果から、226 KOの表現型である心房、心室中隔欠損、肺動脈の閉鎖、大動脈右室起始の原因の一端が明らかになった。 226 KO胚では、器官の左側でのみ発現し、左を決定する転写因子Pitx2の右側における異所発現は見られないため、226が器官の右側を積極積的に決めることが推測される。高頻度に左側相同が観察される心房と肺芽において、226 mRNAの発現を調べたところ、左右両側において226の発現が観察されたことから、226は、器官の左側特異的に、Pitx2もしくはpitx2の下流遺伝子によって機能阻害されることによって右側を決めることが推測された。 226とPitx2との関係を調べるため、器官の左側におけるPitx2の発現を消失させたマウス(Pitx2ΔASE)と226のダブルノックアウトマウス(D KO)を交配により作成中である。 226は機能未知であるため、226タンパク質の細胞内局在を詳細に調べるため、226と蛍光タンパク質であるvenusとの融合タンパク質(226-venus)を発現するトランスジェニックマウスを作製した。解析は、今後行う予定である。
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