2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09979
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉場 聡子 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Pkd2 / ノード / 左右性 |
Research Abstract |
マウス胚で体の左右非対称性が獲得される過程において、現在知られる最上流の現象はノード流である。これは、最初の体節が出現する前後に現れるノードの繊毛が時計回りで回転することでノード表面に生まれる左向きの水流である。近年当研究室は、ノード流の方向を培養下で人工的に操作するシステムによって、左右の決定はノード流の方向に依存する、言い換えればノード流が左右非対称性を決めていることを明らかにした。しかしながら、この左向きのノード流がどのように遺伝子の左右非対称な発現に変換されるのかはまだわかっていない。本研究では、まず繊毛がセンサーになり得るという最近の知見を受けて、ノード繊毛に局在しノード流のセンサーとして示唆されるカルシウムチャネルpolycystin-2(PC2)に注目し、PC2をコードする遺伝子Pkd2のノックアウトマウス(Pkd2KOマウス)の解析を行った。このPkd2KOマウス胚では、左右性のマーカー遺伝子であるnodalの、側板中胚葉(LPM)における左特異的な発現が消失し、左右性の異常を示すが、この分子が実際に左右決定においてどこでどのように働いているのかは不明であった。そこでまず、KOマウス胚のノードの形態を調べたところ、KOマウスのノードは形態的に正常であり、ノード流の向き、流れの速さも野生型と変わらないことがわかった。また、HNF3βのノード・脊索特異的エンハンサーを用いて、KOマウスのノードでPkd2の発現を回復させたところ、KOマウスの左右性の異常が回復した。さらに、Pkd2の発現を回復させる組織をさらにノード周縁の細胞に限局させたところ、この場合も左右性の異常が回復し、Pkd2はこの細胞で機能していることがわかった。これらより、Pkd2はノード流の生成には直接関わらないこと、左右性決定においてノードの周縁の細胞で機能していることが明らかとなった。
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