2006 Fiscal Year Annual Research Report
近世前期江戸演劇界における文化形成-屋敷方および出版界との関係を通して-
Project/Area Number |
05J10061
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
鈴木 博子 国文学研究資料館, 文学形成研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近世演劇 / 浄瑠璃 / 歌舞伎 / 享保期江戸興行界 / 藩政史料 / 座敷芝居 / 対馬藩 / 加賀藩 |
Research Abstract |
1.藩政史料の調査 (1)対馬藩史料(長崎県立対馬歴史民俗資料館蔵) 対馬藩の江戸屋敷の記録である「表書札」と「奥書札」の二種の日記を通覧し、享保末年までの操・歌舞伎上演記録を抽出した。さらに国元の「奥書札」の日記を調査し、享保末までの芸能関係記事を収集した。 江戸の藩邸における操・歌舞伎上演記事については、東京大学史料編纂所所蔵の「毎日記」から抽出したデータも合わせて翻刻し、年表を作成した。 (2)岡山藩史料(岡山大学附属図書館池田家文庫蔵) 岡山藩の藩主を中心とした記録「日次記」から抽出した演劇上演記事をもとに、「寺社方日記」、「留帳」、「控帳」などの他史料を調査し、データを補足した。 2.芝居町と座敷芝居についての考察 (1)加賀藩邸における歌舞伎 加賀藩の江戸屋敷で、享保十二年に芝居町の三座から役者を呼んで、歌舞伎を上演していた事例に着目し、当時の加賀藩の事情や芝居町側の状況から、双方にとって特別の意義を持った上演であったと推測した。他の種々の上演記事も合わせて考証した結果、上記のような特別な上演の基盤に、屋敷方の座敷芝居で活動する役者たちと芝居町との関係が想定されるとの知見を得た。 (2)対馬藩邸での演劇上演 対馬藩の藩主や一族の動向、及び経済事情などを調査し、江戸屋敷における演劇の上演実態と合わせて考察した結果、特に藩主の娘や妻の占める位置と演劇などの催しとの関連が具体的に知られた。
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Research Products
(1 results)