2005 Fiscal Year Annual Research Report
分解過程を制御する落葉の質の多様性が森林生態系栄養塩循環に影響を与える機構の解明
Project/Area Number |
05J10093
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
黒川 絋子 総合地球環境学研究所, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 多様性 / 土壌微生物群集 / 土壌動物群集 / 分解者 / 栄養塩循環 / 土壌栄養塩 / 土壌呼吸 / 生態系機能 |
Research Abstract |
本研究の目的は、落葉分解過程を制御する葉の性質の多様性が、生態系の栄養塩循環に影響を与えるメカニズムを解明することである。本年度は主に、この分野で最先端を行くニュージーランド・ランドケアリサーチの土壌生態学研究室で、落葉分解にかかわる土壌動物・微生物群集の活性測定や群集構造解析を行った。ニュージーランドの河畔林に、ある特定の植物機能グループを人為的に除去してある(つまり植物の質の多様性が異なる)調査区が設置されており、そこで植物群落の生産性や機能グループの多様性と、土壌分解者群集(Nematodes, Collembola, Mite, Fungi, Bacteria)の活性(土壌呼吸)と群集構造、そして土壌栄養塩濃度(窒素、リン)とその動態(窒素無機化速度)との関係を解析している。今までのところ、植物群落生産性、土壌化学分析、土壌分解者群集活性分析は終了し、現在、土壌分解者群集の構造解析を行っている。データの解析はまだ進行中だが、植物群落生産性と、土壌分解者群集の活性の指標である土壌呼吸や窒素無機化速度の間には関係性が見られるものの、植物群落生産性と土壌栄養塩濃度との間には関係性が見られない、という傾向を見出している。今後さらに、植物機能グループの多様性と土壌分解者群集の多様性、および土壌栄養塩動態との関係を解析することにより、植物の質の多様性が生態系栄養塩循環に影響を与えるメカニズムを明らかにする予定である。
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