2005 Fiscal Year Annual Research Report
貧困概念の多様化と開発政策の評価に関するミクロ計量経済学的研究
Project/Area Number |
05J10102
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上山 美香 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 開発ミクロ経済学 / 貧困 / サブサハラ・アフリカ / ジェンダー / 家計内資源配分 / 子供の健康 |
Research Abstract |
本研究の目的は、開発ミクロ計量経済学の分析手法を用い、サブサハラ・アフリカを中心にして、途上国における独自の社会的環境およびその変化が個々人(および各家計)の貧困、健康状態に与えるインパクトを定量的に分析、評価し、貧困分析をより深め、効率的な貧困削減政策を探ることにある。 平成17年度の主な研究成果は、サブサハラ・アフリカにおける子供の健康に焦点を当て、所得面に限定された貧困分析からは見えてこないそのユニークな特徴を示し、南アジアとの比較を含め包括的に整理するとともに、サブサハラ・アフリカにおける独自の農業性別分業形態であるfemale-farming system, sex-segregated farming systemに着目し、農業における女性の役割が子供の健康改善に与えるインパクトを検討、分析した。具体的には、各国のDemographic and Health Survey、マラウィ、南アフリカの家計調査といった各種ミクロデータを用いた定量的研究を通して、所得貧困の視点では、一括りに最貧地域とされるサブサハラ・アフリカと南アジアの両地域において、子供の健康に関しては、何故に、南アジアよりもサブサハラ・アフリカが相対的に望ましいパフォーマンスを示すことができているのかを、サブサハラ・アフリカにおける独自の農業性別分業形態、女性の自家消費作物栽培への貢献、世帯内における女性のバーゲニングパワーに着目して分析し、女性が世帯内で独立の農業生産者として自家消費作物を生産することが、世帯のfood securityを高めるのみならず、女性のバーゲニングを強め、家計内の資源配分を子供の人的投資へと促す効果を持つことを明らかにした。
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