2006 Fiscal Year Annual Research Report
貧困概念の多様化と開発政策の評価に関するミクロ計量経済学的研究
Project/Area Number |
05J10102
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上山 美香 一橋大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | HIV / AIDS / マラウィ / サブサハラ・アフリカ / 教育 / 貧困 / エイズ予防 / パネルデータ / 孤児 |
Research Abstract |
本研究の目的は、開発ミクロ計量経済学の分析手法を用い、サブサハラ・アフリカを中心にして、途上国における独自の社会的環境およびその変化が個々人(各家計)の貧困、健康状態に与えるインパクトを定量的に分析、評価し、効率的な貧困削減政策を探ることにある。 18年度は主に、アフリカにおける最大の危機的問題であるHIV/AIDSに焦点を当て、その社会経済的インパクト、貧困への影響に関する実証分析を行なった。この研究は、ワシントンDCにあるInternational Food Policy Research Institute(国際食料政策研究所:IFPRI)Food Consumption and Nutrition Divisionとの共同研究プロジェクトであり、HIV/AIDSチームおよびその他研究者との議論、交流、同研究所の研究会での論文報告、共同論文の執筆、ディスカッションペーパーの執筆等を行なった。このプロジェクトは19年度も引き続き行なわれる予定である。 主な研究成果は、2本の単著論文と1本の共同論文である。いずれも、HIV/AIDSに関する実証研究であり、そのうち2本はマラウイについて、1本はアフリカ全体の概観を分析したものである。マラウィに関しては、IFPRIによって作成されたパネルデータを用い、最近のエイズ孤児、エイズによる労働力人口および親世代の死亡が子供の人的資本形成に与える影響を厳密な推計モデルを用いて検証し、特に若年男子の健康、教育に両親(特に母親)の死がマイナスの影響を強く持つことを示した。また、地域のHIV/AIDSの蔓延による女性の結婚行動、性行動の変化についてサーチモデルを用いて分析した論文では、エイズが蔓延している地域でも結婚は未だに一般的であるが、結婚による感染リスクを減らすために、高感染地域に住む女性は初婚年齢を下げ、年齢の近い(若い>男性を選び、婚前交渉の期間を短くすることを定量的に示した。アフリカ全体を対象とした論文では、各国のDemographic and Health Surveyの個票データを用いて、各出生コーホートの年齢別死亡率を計算し、その特徴の分析、エイズ感染率との比較を行い、その相関の高さを示した。これらの研究成果および、研究論文の一部研究成果を、海外ジャーナルに投稿中である。
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Research Products
(3 results)