2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J10116
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
笹倉 香奈 一橋大学, 大学院法学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 刑事訴訟法 / 憲法 / 裁判の公開 / 公開原則 / 法と心理 / 表現の自由 / プライバシー権 |
Research Abstract |
本研究は、刑事裁判の公開原則の再検討をすることを目的とする。日本の刑事訴訟法学のみならず、憲法学及び民事訴訟法学における議論、独・英・米等の議論を検証することで、刑事裁判の公開原則を訴訟関係人のプライバシー権という新たな視点から見直す筆者独自の理論に立脚し、実務により接近した考察を行うことを課題とする。2006年度の成果は、下記の通りである。 1.【理論的研究】 第一に、独・米・英における最新の判例・議論をフォローし、各国の実務・判例の検討を行った。とりわけ、現在の日本で必ずしも進んでいない裁判員制度と公開原則との関係に関する検討につき、米・独の議論に関する研究を進めた。 第二に、犯罪被害者と公開原則についての研究を行った。現在立法化が進められている被害者の刑事手続参加の提案に含まれる被害者情報の匿名化の問題は、公開原則と大きく関わりを持つ。この論点に関するアメリカの議論をも検討した。 第三に、法と心理学の観点から、公開法廷におけるメディア取材の影響について検討した。アメリカでの実験研究の検討を行い、日本における従来の議論を検証して、法と心理学会で報告し、法学者・心理学者双方から有益な意見を得た。従来心理学ではこの論点への問題意識がなかったことから、今後この研究を進める必要性も明らかになった。 2.【研究発表】 上述の通り、10月に法政大学で開催された法と心理学会で「公開法廷におけるメディア取材の影響」(ポスター報告)を行った。2007年中には、本報告とその成果をまとめた論文を発表するよう依頼を受け、学会誌『法と心理』に論文を投稿予定である。また、これまでの研究成果をまとめた上で、紀要『一橋法学』に研究論文を発表した。さらに、2006年9月に一橋大学で開催された『一橋大学刑事判例研究会』では、公開原則とビデオリンクの関係について判示した、最判平成17年4月14日の研究報告を行った。
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Research Products
(1 results)