2005 Fiscal Year Annual Research Report
大規模開発と地域社会の自立に関する社会学的研究:成田空港問題を事例として
Project/Area Number |
05J10153
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
相川 陽一 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会運動 / 地域自立 / 地域開発 / 社会資本 / 成田空港問題 |
Research Abstract |
平成17年度は、資料収集ならびにフィールド調査を中心に研究を進め、1大規模開発プロジェクトと反対運動に関する国内外の研究動向の整理、2高度成長期における大規模地域開発プロジェクトの展開と首都圏への新国際空港の計画過程に関する文書資料の収集・分析、3成田空港建設計画への地域的対応に関するフィールド調査を実施し、以下の成果を得た。 1については、主として国外における空港建設プロジェクトと反対運動の展開に関する社会学分野の研究動向のサーベイを実施し、英米圏の社会運動論研究者による先行研究の整理をおこない、成田空港問題を分析する際に必要となる分析枠組みの構築に着手した。 2については、千葉県立中央図書館、成田市立図書館、財団法人航空科学振興財団・歴史伝承委員会、国土交通省図書館の各機関にて資料収集を実施し、高度成長下における国際空港建設プロジェクトの国家レベルにおける位置づけと空港立地に関する県レベルの対応に関する一次資料を収集した。 3については、空港周辺の市町村ならびに空港反対運動リーダー層への聞き取り調査および資料収集を実施し、市町村の行財政構造と地域社会構造および空港建設プロジェクトへの地域的対応に関する基礎的なデータを得た。なかでも反対運動関係者の生活資料を収集・閲覧する機会を得たことは貴重な成果であった。 上記の調査成果に基づき、地域社会構造と空港反対運動の展開に関する分析を、生活資料を主たる素材として進め、その成果を日本村落研究学会、生活史研究会にて報告し、拙稿「農民日記の<世界>」で資料紹介をおこなった。また、成田空港反対運動を含めた高度成長期の住民運動の担い手の著作を横断的に検討し、書評論文「古くて新しい課題」にまとめた。 平成18年度は1〜3の調査成果を綜合し、空港開発プロジェクトと反対運動のダイナミズムに焦点をあてた研究を進めたい。
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Research Products
(3 results)