2005 Fiscal Year Annual Research Report
社会主義政権下ポーランドにおける政治変動のダイナミクス-カトリック教会を中心に-
Project/Area Number |
05J10163
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
加藤 久子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 民主化 / 社会主義 / 産業化 / カトリック教会 / 東欧 / 国民 / 政治変動 / ポーランド |
Research Abstract |
社会主義政権下ポーランドにおける地方都市での政治・社会の変動の様子に着目し、そのような変動が1989年の体制変動にどのような影響を与えたかについて説明することを目標に研究を進めている。 本年度は、戦後に建設が開始されたコンビナートと、その労働者向け団地を事例とし、以下の2点から、史資料研究を行った。 1.カトリック教会建設の要求 前年までた収集済みの資料の読解から、団地内に教会の建設を要求する住民の活動について調査を進めた。特に、団地内に建てられた十字架の撤去をめぐっての党政府と住民の路上での闘争について、実態を明らかにするべく、公文書・回想録・国内や西側での報道などの読解を行った。党の中央-地方間の認識のズレ、ならびに、事件前後での住民や司祭の意識の変化について、それぞれ6月・7月に学会・研究会で報告を行った。 また、現地の公文書館にて、当時の各小教区における「教会建設委員会」など、カトリック系団体の活動に関する未公開文書が大量に発見されたため、現地に赴き、資料収集と読解にあたった。 2.新興都市内における「地域社会」形成 初期のコンビナート建設期に都市に集まってきた住民の政治的な意識と宗教的実践の様子を説明することで、党と教会双方からのイデオロギーが、社会においてどのように受容されたかを明らかにした。特にスターリン期における厳しい党の政策やプロパガンダの中で、教会がどのように活動の場を確保し、住民との関係を維持したかという点に着目し、『ロシア・東欧研究」に論文を発表した。 また、戦後の復興期、カトリック教会が「国民」のシンボルと謳われた様子について『現代宗教2005』において論じた。一方で、コンビナートの機関紙や日誌には、少数民族・少数エトニーに関する記述も散見される。新興都市において、マイノリティがどのように認識され、「地域社会」がどのように形成されていったかについて、現地で調査を行った。
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Research Products
(2 results)