2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J10185
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
矢野 順子 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ラオス語 / パテト・ラオ / 言語政策 / 教育政策 / ベトナム人教育専門家団 / グエン・アイ・フイ / 南寧市 / 67年学校 |
Research Abstract |
本研究の目的は、パテト・ラオ政権下での「ラオス語」構築の実態を明らかにすることにある。平成17年度の調査結果を踏まえ、平成18年度は、言語政策と共に、パテト・ラオの教育政策についての調査に重点をおいた。具体的には、9月にビエンチャン(ラオス)、ハノイ(ベトナム)で、3月に広西チュワン族自治区南寧市(中国)にて資料収集を行った。ビエンチャンでは資料収集に加え、パテト・ラオの中央教育局のメンバーであったブンカム・チャルンスック氏、ソムシー・デーサー氏へのインタビューを行った。また、ハノイでは元ベトナム人義勇兵のファム・ドゥック・ズオン教授、元ベトナム人教育専門家団団長のグエン・アイ・ブイ氏(以下、アイ氏)へのインタビューを行った。特にアイ氏は1963年から75年まで、ベトナム人教育専門家団の団長として、パテト・ラオの解放区で活動していた人物であり、アイ氏へのインタビューを通して、当時、解放区全域にベトナム人専門家が派遣され、パテト・ラオの教育政策の実施、教科書の編纂などに関わっていたこと、パテト・ラオの幹部たちが、ラオス語による教育を革命教育政策の大原則として、捉えていたことなどが明らかとなった。9月の調査と平成17年度の調査の成果を論文としてまとめ、『東南アジア:歴史と文化』(東南アジア学会)に投稿した(現在査読中)。3月の南寧市の調査では、広西民族大学のラオス語専攻資料室にて資料収集を行い、パテト・ラオによる新聞や雑誌、教科書などを収集した。そしてさらに、同大学ラオス語専攻の陶紅副教授から、1967年に南寧市に設置されたラオス人学校(67年学校)の状況についても、ご教示いただくことができた。これらの成果については、平成19年度中に論文としてまとめ、発表していく予定である。
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