2005 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀の病い-A.ジェイムズとW.ジェイムズの関わりを手がかり
Project/Area Number |
05J10193
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
清水 由希江 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アリス・ジェイムズ / ウィリアム・ジェイムズ / プラグマティズム / アメリカ思想史 |
Research Abstract |
本年度は2005年に提出した修士論文の再考を進めた。ウィリアム・ジェイムズの思想をアメリカ思想史の文脈のなかで把握し直すべく、思想史、知識人史の関連文献の整理・収集、読書を通じて体系的な理解を深めることにつとめた。その研究報告として、第30回社会思想史学会において「倫理規準としてのプラグマティズム-W.ジェイムズによる心理化と実践」という題目で口頭発表をおこなった。結果として、ジェイムズの初期プラグマティズムがアメリカ思想史において果たした批評的機能についてさらに研究を深めるべき点等を見いだすことができた。 社会的実践の意味合いをもった批評行為を通じて、アメリカ知識人史の文脈を整理し、新批評の展開、ニューヨーク知識人における社会批評の展開等との関連について現在研究を進行中である。研究課題の直接的な研究対象であるアリス・ジェイムズについてなされた批評や戯曲化も経緯をふまえないわけにはいかない。さらに、ジェイムズ家にみられる規範と異端性とのせめぎ合いのなかから、アリスとウィリアムの関係にくわえて、家族のメンバーそれぞれの影響関係を考察中である。 また、アリスの唯一の纏まったテクストである日記の分析を進めてきた。日記のなかにしばしば引用されるフランスの19世紀の雑誌類の資料調査をフランス国立図書館のマイクロフィルム資料を用いて行った。また、アリスを部分的にとりあげているアメリカで提出された複数の博士論文の内容についても、テクストを入手してフォローアップする準備ができた。課程における研究1年目ということもあり、研究課題の遂行のための準備に多くの時間を費やすことになったが、次年度はその下地を生かして研究報告へと結びつけたい。
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