2005 Fiscal Year Annual Research Report
経済グローバル化への政策対応と政党制の変容--先錘諸国の財政・金融改革を事例に
Project/Area Number |
05J10219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉之原 真子 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | グローバリゼーション / 経済政策決定 / 政党システム / 金融・財政改革 / 規制緩和 / 政官関係 |
Research Abstract |
本研究は、経済のグローバル化が進展する中で、各国の政策の違いに政党制度が与える影響を探ろうとするものである。国際的な市場の圧力を受けて市場指向型の経済政策への転換を迫られている状況は、先進各国に共通するものの、実際の政策対応には国ごとに違いがある。そうした差異を政党システムのあり方、より具体的には政党間の競合状況に着目して説明する。 研究初年度は、日本の銀行危機への対応と政党システムの変化の関係についての事例を論文にまとめ、シンポジウム「日本とドイツ--グローバル化の挑戦と政策対応」(2005年9月26-28日、於東京大学)において報告した。バブル経済崩壊後、日本は金融危機に直面したが、処理が後手に回って危機を深刻化させたと批判されてきた。その政策対応の変遷を時間を追って検討すると、経済状況の変化だけではなく、政党制の変化と密接な関係があることが明らかになった。政党間の競合状況は、政治家と官僚組織との協力関係、および世論へのアピールに影響を与えることを通じて、大胆な新政策導入の可否を左右した。 また、本年度は日本の財政改革や規制緩和の事例について調査を行うとともに、他国の事例(特にドイツ)についても予備的な調査を行った。政党政治と金融・財政改革に関する先行研究のレビューも行っており、こうした理論的見地を今後事例と結びつけたい。 現在、来年度の学会およびシンポジウムでの報告に向けて成果をまとめるとともに、成果の刊行に向けて準備を行っている。
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