2007 Fiscal Year Annual Research Report
経済グローバル化への政策対応と政党制の変容-先進諸国の財政・金融改革を事例に
Project/Area Number |
05J10219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉之原 真子 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際政治経済学 / グローバリゼーション / 経済政策 / 規制緩和 / 金融自由化 / 企業統治改革 / 日本:ドイツ / 政党システム |
Research Abstract |
本研究は、経済のグローバル化が進展する中で、各国の政策の違いに政党制度が与える影響を探ろうとするものである。国際的な市場の圧力を受けて市場指向型の経済政策への転換を迫られている状況は、先進各国に共通するものの、実際の政策対応には国ごとに違いがある。そうした差異は、しばしば各国の政治システムの違いから説明される。 本研究では、特に政党システムに着目して、経済政策の変化を説明した。事例としては、日本の金融市場改革と、コーポレートガバナンス改革を中心として、ドイツとの比較を行った。日本のいわゆる55年体制、すなわち自民党一党優位体制の下では、政治家は、専門性の高い経済政策の決定権限の多くを官僚に委譲してきた。また、利益集団も政治家・官僚と長期的な関係を築き、時間をかけて関係者が協議を行い、経済環境の変化に漸進的に対応するような改革が行われてきた。それに対し、政党システムがより競合的なものに変化した93年以降は、その時々の政党間の競合状況に応じて、大幅な改革が提案されたり、官僚主導で緩やかな改革が実現したりといったバリエーションが生じるようになった。 平成19年度は、引き続ぎ調査を行うとともに、学会・研究会において研究成果の公表を行った。日本政治学会での報告「対内直接投資と経済ナショナリズムをめぐる政治」、および日本国際政治学会での報告「市場の論理か国内政治か?-グローバリゼーションと経済政策の選択をめぐって-」学会報告を行った。また、ドイツ・オスナブリュック大学における国際シンポジウム(「1989年以降のドイツと日本:改革圧力と政治システムのダイナミクス」)においても報告の機会を得た。 これらの機会に得られたフィードバックも踏まえ、成果を順次論文にまとめている。現在、20年度中刊行予定の学会誌1、論文集2への掲載が決定している。他に1本の論文を学術誌に投稿中である。
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Research Products
(2 results)