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2007 Fiscal Year Annual Research Report

ジャック・デリダの「テレコミュニケーション倫理」の構築:討議民主主義論の新地平

Research Project

Project/Area Number 05J10249
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

宮崎 裕助  The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)

Keywordsデリダ / ソシュール / シュミット / 決断主義 / テレコミュニケーション / グラマトロジー
Research Abstract

本研究の最終年度である19年度の研究実績は、本研究の課題となっている「テレコミュニケーション倫理」の概念をめぐって、一方では、前期デリダの言語論との関連、すなわち、最重要の主著たる『グラマトロジーについて』との関連が問われ、他方では、後期デリダが「倫理-政治的」と呼ぶ主題に含まれる、民主主義と決断主義の問題が問われ、もって本研究課題の核心というべき論点が究明された。これは、発表論文にそくして、以下の二点に集約される。
1.テレコミュニケーションとグラマトロジー 構造主義の始祖ソシュールへのデリダの関係は、一般に「デリダによるソシュール批判」として語られてきた。だが、ここに敵対関係をみるのは早計である。論文「ソシュールのグラマトロジー」は、デリダのソシュール読解を再検討し、デリダの主著『グラマトロジーについて』の企てがそもそもソシュール言語学の達成なくしてはありえなかったことを示そうとする。この試みを、デリダのテレコミュニケーション概念の条件として討究したことで、この概念の射程が、デリダ本人の哲学を超えて20世紀言語学の核心にまで及ぶものであることが証示された。
2.民主主義における決断主義の問題 現代政治論の焦点たるカール・シュミットとデリダの両者の決定論の関係は従来明確に示されたことがなかった。一方で、シュミットの主権的決断主義は、決断の権威を国家主権へと実体化することで、決断主義を廃棄する決断、つまり非決断の政治へと反転する。他方で、デリダの「決定の思考」は、決断の無条件性をあくまで計算不可能な正義への権利として要求し続けることで権威の実体化を批判し、決定の可能性を無限に押し開こうと試みる。こうした対照を通じて、論文「決断主義なき決定の思考」は、デリダの思考のうちに、民主主義の只中でファシズムを導いた決断主義の政治への抵抗点を標定しようとした。

  • Research Products

    (4 results)

All 2008 2007

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 決断主義なき決断の思考-Derrida avec Schmitt2008

    • Author(s)
      宮崎 裕助
    • Journal Title

      SITE ZERO / ZERO SITE 2(掲載確定)

  • [Journal Article] ソシュールのグラマトロジー-『一般言語学講義』を読むデリダを再読する2007

    • Author(s)
      宮崎 裕助
    • Journal Title

      思想 1003

      Pages: 31-51

  • [Presentation] 〈決断〉の帰趨-デリダにおける「決断主義なき決定」の思考2007

    • Author(s)
      宮崎 裕助
    • Organizer
      哲学会カント・アーベント(東京大学)
    • Place of Presentation
      本郷学士会館分館
    • Year and Date
      2007-04-21
  • [Book] Phenomenology 2005(Vol.1)2007

    • Author(s)
      宮崎 裕助(共著)
    • Total Pages
      535-584
    • Publisher
      Zeta Books

URL: 

Published: 2010-02-04   Modified: 2016-04-21  

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