2006 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀ロシアのタタール人-中央ユーラシアとロシアへの二重の帰属意識の研究-
Project/Area Number |
05J10260
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱本 真実 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 18世紀 / ロシア / タタール人 / カザン / カルガル / 商人 / リトアニア法典 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の17世紀に関する研究をもとに、18世紀ロシアのタタール人に関する研究を主に行なった。夏までに日本で可能な限り多くの文献を収集し、テーマをカザン商人の町カルガルに絞り込んだ後、9月17日から10月4日までモスクワに赴き、ロシア国立古文書館と、ロシア国立図書館、歴史図書館において史料・文献収集を行なった。これらの文献を利用して11月上旬に脱稿した論文は、「タタール商人の町カルガルの成立-18世紀前半ロシアの宗教政策と東方進出-」(『東洋史研究』65-3)としてすでに発刊された。この論文では、18世紀初頭にピョートル一世によって農民の地位に下げられたタタール人士族に代わり、ロシア政府の相矛盾した宗教政策と東方政策を背景にタタール商人が18世紀ロシアで急速に台頭していく様を明らかにした。 本年度はまた、10月28日のロシア史研究会大会において、私がここ数年参加している中近世ロシア研究会のメンバー3人によるセッションが組まれ、私はこのセッションで「1649年法典とリトアニア法典における異民族」という題目で報告を行なった。この報告をまとめた原稿が、『ロシア史研究』80号に「1649年法典とリトアニア法典における異民族-タタール人に関する条項を中心に-」という題目で掲載予定であり、現在、初校の段階である。 なお、Gosudarev dvor v istorii Rossii XV-XVII stoletii.に掲載された"Popolnenie Gosudareva dvora Rossii XVI-XVII vv. (vykhodtsy s Vostoka i problemy ikh assimiliatsii"(16-17世紀ロシア宮廷の人員補充-東方からの帰順者と彼らの同化問題)は、2003年秋にロシアで学会発表した原稿が、今年になって出版されたものである。
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Research Products
(3 results)