2006 Fiscal Year Annual Research Report
人間言語の普遍文法の(非)対称性及び多重関係性の解明と個別言語の比較対照統語研究
Project/Area Number |
05J10271
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平岩 健 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生成文法 / 統語論 / 言語類型論 / フィールドワーク / 対称性 / 局所性 / 日本語学 / Gur諸語 |
Research Abstract |
本年度の研究では人間言語の(非)対称性の研究の一環として西アフリカのトーゴで話されているGur諸語の一つであるKabiye語のインフォーマント調査を通じて、同言語の主要部内在型関係節(Head-Internal Relative Clauses)及び、名詞句構造の統語的及び形態論的特徴の詳細な研究を行った。本研究に基づき、前年度から行っている主要部内在型関係節に関する研究を、Buli、Kabiye、Gurene、Dagaare語の比較対照研究に発展させ、Gur諸語内における主要部内在型関係節の有無と名詞句構造・語順との間の相関関係を明らかにした。 さらに同じくガーナで話されているDagaare語の研究に於いては、いわゆる連結動詞構文(Serial Verb Constructions)と述語分裂構文(Predicate Clefting)の相互作用に主眼を置き、連結動詞構文が従来考えられて来た非対称的な統語構造を基底に持つのではなく、対称的な統語基底構造の上に成立していることを明らかにした。また、形態的変化を一切伴わない受動構文(Passive Constructions)や、動詞句のフレージングに応じて生起する動詞形態素の研究等を行った。これらの研究に関しては引き続き来年度も継続する。 また、日本語の統語構造に関する書籍『新日本語の統語構造:ミニマリストプログラムとその応用』(三原健一との共著)が松柏社より出版された。本書では、日本語のいわゆる主語・目的語繰り上げ構文、分裂文と焦点、二重対格制約、及び主格/属格交替現象をミニマリストプログラムの観点から考察した。
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