2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J10329
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
香西 豊子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ドネーション / 歴史社会学 / 人体 / 流通 / 献体 / 献血 / 臓器提供 / 医学史 |
Research Abstract |
本年度の研究の成果は、以下の2点にまとめられる。 1、研究で得た知見の還元 本年度までの研究の成果を総括し、現代の医療・医学のアクチュアルな問題にたいする一つの参照点として、提供した。 (1)中間報告書の作成 まず、単著の報告書というかたちで、(『流通する「人体--献体・献血・臓器提供の歴史』・2007年2月脱稿・勁草書房より2007年7月ごろ刊行予定)。同書は、「人体」という言葉遣いがある種の社会性を具現しているという洞察のもと、流通する「人体」の記述をとおして、われわれの生きる「社会」の記述を目指したものである。具体的には、ドネーション(「人体」の流通)という事象に内在的な論理を、可能なかぎり一次資料にそって記述するとともに、ドネーションに関する(二次的な)言説の振幅をとらえ、その意味合いについても考察した。 この作業をとおして、本研究の意義および本研究が今後取り組んでゆくべき課題を、あらためて確認することができた。 (2)医学系学会誌の「教育」に関する特集への寄稿 あわせて日本解剖学会の学会誌に、「医学生にたいする生命倫理学の教育」という観点から、献体(解剖体)の歴史を手短にまとめ、発表した。 2、東京大学医学図書館所蔵の医学史料の書誌(アーカイブス)調査 なお、副次的な課題となるが、本研究の課題の遂行に並行して、医学史研究の基盤ともなる史料の書誌学的な研究を、おもに東京大学医学図書館においておこなった。これによって、本研究課題の遂行上、今後も必要となってくる、近世・近代/医学文書という特殊な資料へのリテラシーを、いっそう向上させることができた。
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Research Products
(1 results)