2005 Fiscal Year Annual Research Report
大学・学生行動のミクロ分析による高等教育財政プログラムの政策評価
Project/Area Number |
05J10381
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
朴澤 泰男 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員
|
Keywords | 高等教育 / 進学 / 教育政策 / 教育財政 / 奨学金 / 授業料 |
Research Abstract |
今年度の研究では、主に次の2つの成果が得られた。 第一に、全国4年制私立大学の財務・奨学金担当責任者を対象に行われた調査のデータを用い、私立大学における奨学金の受給率と授業料などの関連を分析した。成果は共著論文にまとめ、2006年5月刊行の『教育社会学研究』誌に掲載される予定となっている。得られた知見は次の通りである。私立大学の学内奨学金(授業料減額・免除を含む)の受給率は、設立年や入試の偏差値と関連しているが、授業料や所在地、学部構成とは関連がない。旧日本育英会奨学金の無利息奨学金の受給率は、設立年や偏差値と関連がある一方、所在地とも関連しているが、授業料や学部構成とは明確な関係が見られない。利息付奨学金の受給率は、設立年とは関連がないが、偏差値とは関連がある。所在地や授業料、学部構成とも関連している。以上の結果をもとに、今後の公的奨学金プログラムの課題を指摘した。 第二に、高校3年生を起点としたパネル調査のデータを用い、高校生の大学・短大・専門学校進学行動の分析を行った。成果は、2006年6月開催の日本高等教育学会大会において、「高等教育進学に対する所得の効果」と題して発表する。この研究の最も重要な知見は、高等教育進学に及ぼす所得の効果は男女で同じではないということである。女子の場合、所得は大学・短大・進学に有意な正の効果を持つのに対し、男子については有意な影響が見られない。大学・短大・専門学校進学者のみを対象に、学校種の選択を分析しても結果は同様であった。このことから、授業料や奨学金が進学に与える影響は性別によって異なることが示唆される。
|
Research Products
(1 results)