2007 Fiscal Year Annual Research Report
顔に変形を有する児童に対する発達臨床的支援プログラムの開発とその実践的活用
Project/Area Number |
05J10384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 学 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 顔の変形 / 発達的支援 / 発達 / 身体障害 / 児童期 / 思春期 |
Research Abstract |
2006年度に引き続き、医療機関・学校・家族らと協同しての支援が行えるような発達臨床的支援の実践として、支援プログラムの作成のためのパイロットケースとして、東北大学歯学部付属病院において,継続して児童期後期から思春期に移行する口唇裂口蓋裂児の面接を行なった。また2005-2006年度に行った成人期口唇裂口蓋裂者への面接調査、および先行研究の文献検討から見いだされた顔に変形を有する人々の各発達期における心理社会的問題と支援のモデルについての論文が、心理学研究に採択された。これを元にして実践を継続して行い、今後、より充実した支援プログラムを作成する予定である。また、顔の変形の問題は、単に顔に変形を有する人々の問題だけではなく、それを取り巻く社会の問題でもあるため、冊子の作成などの情報支援,また子どもが孤立無援になりがちな学校における支援ニーズを教師に伝える資料作成も今後の課題である。 また、8月には,前年度までに見いだした各発達期のモデルを国内外の学会や研究会で発表・情報収集を行うために、ドイツで行われた第13回ヨーロッパ発達心理学会において、思春期の口唇裂口蓋裂者の自己形成についての発表を行って、海外の研究者とも積極的に意見交換をするとともに、そこで得た知見をもとに、顔に変形を有する人々の心理社会的問題と支援のモデルの精緻化を行った。 さらに、こうしたモデルについての研究上、顔の変形を有する人々の発達に関する問題が、実は脳性まひ児などの身体障害者の発達と可視性(見た目)という観点で共通する部分があることが考えられた。このため、日本発達心理学会第19回大会において脳性まひ児の研究を行っている心理学者との自主シンポジウムを開催した。これによって顔の変形の問題が単にこの問題だけにかぎらず、身体障害などいわゆる障害の領域とも共通する問題であることが明確になった。
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Research Products
(7 results)