2005 Fiscal Year Annual Research Report
在日/南北朝鮮人メディア史研究:1948年・1953年-空間的拡張の機制と論理-
Project/Area Number |
05J10394
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 聡明 東京大学, 大学院・情報学環, 特別研究員(PD)
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Keywords | 朝鮮戦争 / プロパガンダ / 韓国・朝鮮 / メディア / 検閲 |
Research Abstract |
1.朝鮮戦争における朝鮮人民軍・中国人民志願軍捕虜に関する研究 本研究は、朝鮮戦争中に国連軍民間情報教育局(UNC/CIE)が行った朝鮮人民軍および中国人民志願軍に対する捕虜教育について、そこで利用された新聞やラジオ、ビラなどのメディアに着目して分析を試みるものである。本年度は捕虜教育が、反共捕虜の身体そのものを共産捕虜だけでなく、北朝鮮や中国にむけたプロパガンダのためのメディアとして編み上げていったことを明らかにした。Asian Studies Conference Japanにて成果報告を行った。今後は朝鮮戦争における捕虜とメディアの関係について、冷戦と民族の観点から研究を掘り進めていく。 2.ソ連軍占領期北朝鮮におけるラジオ・メディアに関する研究 本研究は、日本の敗戦から1948年9月までのソ連軍占領期北朝鮮におけるラジオの成立過程を分析するものである。ここでは金日成回顧録などの北朝鮮の公的な歴史資料だけでなく、米軍資料や米軍捕獲北朝鮮資料など、マルチ・アーカイバルに研究を進めた。本年度は北朝鮮におけるラジオ成立前後の状況や、そこにおける党・国家、そして金日成の役割について解明した。この成果は、共著書に収録された。今後はロシア資料の検討を通じて、さらに立体的な分析を試みていく。 3.米軍占領期南朝鮮における米軍検閲に関する研究 本研究は、日本敗戦から3年間にわたった米軍占領期南朝鮮で実施された郵便や電信、電話への検閲について分析した。ここでは米軍によって行われた検閲のしくみを明らかにし、その変容の意味について検討した。その成果は、雑誌論文として公刊した。今後は米軍検閲について戦前・戦後の連続性という観点から研究を進めていく。
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Research Products
(2 results)