2006 Fiscal Year Annual Research Report
在日/南北朝鮮人メディア史研究:1948年・1953年-空間的拡張の機制と論理-
Project/Area Number |
05J10394
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 聡明 東京大学, 大学院情報学環, 特別研究員(PD)
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Keywords | 韓国 / 南朝鮮 / 北朝鮮 / メディア / 在日朝鮮人・韓国人 / 検閲 / 占領 |
Research Abstract |
(1)在日朝鮮人メディア 本年度は、まずGHQ占領期に日本と朝鮮半島の間でなされた朝鮮人の移動とメディアとの関係性に着目し、人の移動を引き起こす力学について検討した。日本と朝鮮半島間の移動が、「帰還」「密航」「送還」の3つの局面から構成されていることを指摘し、各局面でのメディアの役割と意味を明らかにした。それは、在日朝鮮人の生き抜きの戦略を歴史的に跡づけるものとなった。本研究の成果は、東アジア近代史学会で報告し、論文(近刊)にまとめた。また、GHQ占領下における在日朝鮮人新聞について、追加調査・研究も行った。特に民族団体や運動団体による新聞・機関紙だけでなく、個人が発行した新聞に着目することで、在日朝鮮人新聞の歴史の新たな一側面を浮き彫りにしようとした。研究結果は、近日ブックレットとして刊行される。 (2)南朝鮮/韓国メディア 本年度は、李承晩政権期に実施された郵便検閲の研究を行った。李承晩政権期の郵便検閲が、植民地朝鮮のそれと、どのように連続/不連続しているのかについて検討した。研究結果は、雑誌論文として公刊し、さらにシンガポールでの国際会議でも発表した。 また、米軍占領期南朝鮮で行われた通信検閲に関する追加調査・研究も行った。米軍による通信検閲における政策の展開過程について、ソウル大学でのシンポジウムで報告した。報告内容は、論文として公表される(近刊)。 (3)北朝鮮メディア 本年度は、労働新聞(米国、韓国、日本所蔵)および北朝鮮捕獲文書(米国所蔵)の収集・分析を行った。とくに解放を祝うイベントがどのように実施され、北朝鮮にとっての解放の意味がどのように変容していったのかという点に着目した研究を行った。その成果は、西江大学(韓国)、東京大学での各シンポジウムにて発表した。
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Research Products
(1 results)