2007 Fiscal Year Annual Research Report
構築主義の家族法理論-「児童虐待」を手がかりとして-
Project/Area Number |
05J10417
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 綾子 The University of Tokyo, 社会科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 児童虐待 / 家族法 / 法社会学 |
Research Abstract |
本年度初期においては、主に前年末に京都大学に提出した博士論文の出版に向け、加筆・修正の作業に当たった。博士論文はアメリカの児童虐待法制の分析に焦点を当てたものであったが、出版に当たり、日本の制度に関する分析を大幅に加筆した。特に、2007年の児童虐待防止法改正(2008年施行)を踏まえて日本の制度の最新状況を明らかにするとともに、アメリカの制度との比較の視点から今後の日本の制度のあり方について自らの意見をまとめた。その過程で、「家族と法研究会」(於、早稲田大学)において『アメリカの児童虐待対応の制度と実務:日本との比較の試み』と題する報告も行った。修正された博士論文は、2008年1月にミネルヴァ書房より刊行された。 本研究者は2007年7月末に渡米し、ハーバード大学図書館において、児童虐待への対応、フォスターケア、および養子縁組に関する資料収集、文献調査を実施した。また、同大学所在地であるマサチューセッツ州ケンブリッジ市、及び隣接するポストン市において、裁判傍聴などのフィ」ルドワーク活動も行った。特に、これまでアメリカでの主たる調査地としてきたミシガン州と、新しい調査地であるマサチューセッツ州の法制度の比較や、大都市圏でのケース処理の特徴など(ミシガン州では小・中都市圏でのケース対応を主たる研究対象としていた)に焦点を当てて研究を行った。 本研究者は2008年2月よりハーバード大学ロースクールの客員研究員として採用され、家族法の専門家であるBartholet教授の指導の下で、引き続き児童虐待や養子縁組の法制度に関する研究を行っている。3月には、客員研究員コロキアムにおいて、日本の児童虐待法制の現状やアメリカとの比較について報告を行うなど、アメリカの研究者との交流の中で日米それぞれの制度の特徴や問題点についての理解をさらに深めるべく、研究を進めている。
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Research Products
(2 results)