2006 Fiscal Year Annual Research Report
構築主義の家族法理論--「児童虐待」を手がかりとして--
Project/Area Number |
05J10417
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 綾子 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 児童虐待 / 子ども / 家族 / 法社会学 |
Research Abstract |
本年度の研究は、主に博士学位論文の準備と執筆に当てられた。 まず、4月から8月ごろまで、アメリカ、特にミシガン州における児童虐待対応実務に関する先行研究、判例および統計資料等の収集と調査を行い、これまでの本研究者自身の研究もふまえ、議論の方向性と大まかな結論を決定した。(なお、この作業は、前年度2月に『法社会学』誌に投稿した論文の校正作業と並行して行われた。また、この時期に『京都女子大学現代社会学部現代社会研究』にも別稿を提出し、06年12月に公表されている。) この資料調査の過程で、アメリカの児童福祉の実務に関する情報収集を行う必要性を認識し、実務家へのインタビュー依頼など、アメリカでの調査の準備作業を9月より開始した。そして、10月下旬から11月上旬にかけての2週間、本研究者が数年前に調査を行ったミシガン州ワシュトナウ郡を再訪し、裁判官や弁護士、ソーシャルワーカー等の実務家へのインタビュー調査、法廷傍聴、会議の観察などを実施した。帰国後、論文の執筆に本格的に取り組み、翌1月、京都大学大学院法学研究科に提出した。その後、審査を経て、3月に学位が授与された。 博士論文においては、アメリカにおける児童虐待への取り組みの特徴や問題点について、その背後にある家族についての基本的な考え方や、家庭生活を取り巻く社会状況も踏まえて検討を行った。今後、公表にむけた改訂作業においては、アメリカの制度分析をブラッシュアップしつつ、本論文においてほとんど触れられていない日本の現状にも言及し、日米の法制度や社会の比較の視点を明確にすることにより、議論をさらに深めていく予定である。
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Research Products
(3 results)