2005 Fiscal Year Annual Research Report
立地モデルの精緻化:不完全競争下における企業の立地選択と集積の分析
Project/Area Number |
05J10424
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 昭 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 品揃え / 商業立地 / 大店法 / 集積 |
Research Abstract |
品揃えが店舗の立地にどのような影響を及ぼすか、という点に関して、不完全競争の理論モデルを構築して分析を行っている。 17年度は、新規出店する店舗の品揃えに着目して分析した。具体的には、出店候補地として周辺消費者数に優劣のない2地点があり、片方の地点にのみ十分な商業集積がある、という設定のもとで、参入店舗がどちらの地点を選択するかについて考察した。 分析の結果として、参入店舗の品揃えが大きければ大きいほど、集積のない地点を選択する傾向にあることが得られた。これは、郊外に立地するのが主に大型店であるという現実にも適合的であり、品揃えが立地決定の要因であることを示唆しているといえる。(なお、そのような立地が、必ずしも消費者利益を損なうわけではない、という結果も得られた。従って、大型店の郊外立地を規制する政策については、その是非、および望ましいとされる条件をさらに検討する必要があると考えられ、18年度以降の研究では、この点をも考慮したい。) また、大店法・大店立地法改正の流れについて整理した(これは図書の担当部分[4章1,2,3,5節]の執筆に反映されている)。 なお、商業集積を分析するうえで関連しうる点についても分析した(ただし、現時点ではこのモデルにはまだ品揃えを含んでいない)。公的機関が中心市街地の活性化のために自ら事業主体となるケースがあるが、これが既存企業と強い競合性を持つときには、「民業圧迫」となることを懼れ、結果として活発な活動が損なわれ、全体としての活性化には必ずしもつながらないことが示された(これは東京大学経済学研究科の加藤一彦氏との共著論文としてまとめ、論文誌"Economics Letters"に投稿中)。
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Research Products
(1 results)