2006 Fiscal Year Annual Research Report
立地モデルの精緻化:不完全競争下における企業の立地選択と集積の分析
Project/Area Number |
05J10424
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 昭 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 品揃え / 商業集積 / 立地選択 / 公的企業 |
Research Abstract |
品揃えが店舗の立地にどのような影響を及ぼすか、という点をメインテーマとして、不完全競争の理論モデルを構築して分析を行っている。 18年度は、17年度に検討してきた「新規出店企業の店舗規模(品揃え)が、当該店舗の立地に与える影響」に関して引き続き分析を進めるとともに、競争における公的企業の役割についても検討を進めた。ちなみに後者は一見すると立地と無関係にみえるものの、実際には店舗立地に関する政策的含意を考察する際に無視できない要素である。なぜなら、商業集積などの地域振興を企図した地方政府の政策介入は(規制や税制といった施策のみならず)しばしば第三セクターなどによる直接的な参入という形をとることがあるからである。 18年度の研究によって得られた知見は以下の通り。 ・品揃えが大きい企業と小さい企業では集積しようとする誘因が異なる(前者が相対的に小さい)ため、集積促進のためには中小企業の積極的協力を引き出すことが重要。 ・競争相手として公的企業が存在する場合には、民間企業相互の競争に比べて歪みが生じる(これは、理論上の公的企業は経済全体のことを考慮するため、消費者や競争相手たる企業に対してもある程度配慮すると想定されるためである。分析したモデルでは、これは結果的には経済厚生に対してプラスではない。品揃えのモデルの場合にどうなるかは、現時点では不明)。もっとも、競争相手に配慮する必要がない場合(消費者には配慮する)には、歪みは大幅に縮小する。つまり、歪みの主因は競争相手に対する配慮である。 ただし、これらは依然荒削りの分析結果であり、論文としては完成度が不十分である。 このため、19年度には、まず既存の研究結果について精緻化を進めて完成度を高め、順次査読つき論文誌に投稿する。加えて、現時点では品揃えと公的企業についてはそれぞれ半独立的に分析を進めているため、これらを統一的に扱うことを目指す。
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Research Products
(1 results)