2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本古代支配構造の研究-イデオロギー支配を中心に-
Project/Area Number |
05J10431
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有富 純也 東京大学, 史料編纂所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本古代史 / 国家論 / 神社 / 清涼殿 / 祥瑞 / 受領罷甲 / 正倉院文書 / 天皇 |
Research Abstract |
神社社殿の成立と律令国家の関係について明らかにする報告「神社社殿の成立と律令国家」を行なった。第1節では、宗教的空間は、モリとよばれる建築物を有さない空間から、ヤシロやホクラと呼ばれる建築物を有する施設へと変貌を遂げており、その変貌を遂げた時期が律令国家の成立時期と重なることを仮に指摘した。第2節では、第1節での仮説を摂関期の神社社殿のあり方から検討し、律令国家・国司が、神社社殿の建築に大きな影響を与えていることを指摘した。国家と宗教の歴史的関係を、少なからず明らかにしえた。 平安中期以降の天皇の居所である清涼殿に、貴族たちがどのように出入するのかについて明らかにする基礎的報告「清涼殿の出入方法」を発表した。清涼殿の構造は、具体的に不明な事も多いため、基礎的な事実を明らかにするだけでも意味があったと考える。 摂関期における国家や天皇の地方支配について、理念的な面から明らかにした論文「摂関期の地方支配理念と天皇」を発表した。10世紀後半になると、国家による地方支配のあり方が大きく変化するという論文で、これまで検討が手薄であった当該期の祥瑞、国家による勧農政策、受領罷申の考察も行なった。当該期の天皇が、どの程度地方支配に関わっていたのかという点を、日本史研究上で初めて論じた論文であると自負している。 「正倉院文書写経機関関係文書編年目録-天平勝宝五年-」において、奈良時代の国家と仏教を明らかにするため、天平勝宝五年(753)の写経所の文書の整理を行なった。主に、国家事業としての仁王会のあり方などを明らかにした。 なお、以上のような本年度の研究をこれまでの研究に加えて集大成し、本年度9月に学位論文「古代国家支配理念の研究」を提出し、審査の結果、本年度3月に学位が授与された。
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Research Products
(2 results)