2006 Fiscal Year Annual Research Report
大深度極至近距離での地震の直接観測による動力学的地震破損停止機構の解明
Project/Area Number |
05J10482
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 卓司 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 南アフリカ金鉱山 / 動力学的破壊過程 / 微小地震 / 静的応力降下量 / 地震波放射エネルギー / 規格化エネルギー / 破壊伝播速度 / スケーリング |
Research Abstract |
地震は日々無数に発生しているが、それらの多くが微小地震である。この無数に発生している微小地震がなぜ小規模な地震で終わるのか、微小地震と大地震では動力学的に何が違うのかなどの問題は、未解決のままである。精密な強震動予測や大地震の予知を目指すためには、これらの問題を必ず解決せねばならない。 本研究では、微小地震と大地震の動力学的破壊過程の相違点および類似点を調べるため、南アフリカ金鉱山内で観測された微小地震のうち、20イベント(0.0<Mw<1.2、震源距離200m以下)について静的応力降下量および規格化エネルギー(地震波放射エネルギーと地震モーメントの比)の解析を行った。その結果、Madariaga(1976)のモデルにより計算した静的応力降下量は3.2--88MPa、規格化エネルギーは4.2e-6--1.1e-4と見積もられた。この結果から、南アフリカ金鉱山内の微小地震の静的応力降下量および規格化エネルギーはともに、大地震のそれらの値とほぼ同じであることが示された。本研究は、震源至近距離での観測結果であるため、これまで同様な解析を困難にしていた媒質の非弾性減衰の影響を効果的に除去、克服できており、信頼度の高い解析結果である。なお、解析は、受け入れ教員の井出講師および、ボストン大学のAbercrombie助教授とのディスカッションを通して進めている。 本研究の結果は、大地震と南アフリカ金鉱山内の微小地震の動力学的破壊過程に大きな相違点がないことを示唆している。この結果は、微小地震の破壊伝播速度も大地震のそれと同程度であるという研究代表者らの過去の研究結果(Yamada et al.,2005)とも調和的である。なお、この結果は3月に国際雑誌に掲載された(Yamada et al.,2007)。
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