2006 Fiscal Year Annual Research Report
3次元磁気流体シミュレーションによる天体の磁場の起源と磁気プラズマ活動現象の研究
Project/Area Number |
05J10491
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯部 洋明 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 太陽物理学 / コロナ加熱 / 対流 / 磁気流体力学 / 数値シミュレーション / ひので / 可視光観測 / フィラメント噴出 |
Research Abstract |
平成17年度6月より継続して18年度6月初旬まで、英国ケンブリッジ大学応用数学理論物理学部に滞在し、Proctor教授、Weiss教授らの支援のもと、太陽の対流層からコロナまでを自己無撞着に解く磁気流体数値シミュレーションコードの開発を行った。7月以降このコードを用いて、太陽対流層からコロナを含む領域の磁場のダイナミックスに関する以下のようなシミュレーション研究を行っている。 1.浮上磁場領域が十分大きく複数の磁気ループが成長する場合、隣り合う浮上ループが光球付近で磁気リコネクションを起こし、彩層低部を加熱することを示した。これはEllerman Bombと呼ばれる彩層下部の加熱現象の起源をよく説明する。 2.初期に対流層からコロナを一様な鉛直磁場が貫く場合、対流の発達により対流層内部の磁場は乱流的になり、対流の上昇流に乗ってトランジエントに水平な磁場構造が光球に出現する。 9月23日に我が国の太陽観測衛星「ひので」が打ち上げられた後、本格的な科学観測が始まった19年1月以降は、「ひので」の可視光望遠鏡のChief Observerの一人として、観測計画の立案とデータ解析に従事した。数値シミュレーションに基づいて予言したトランジエントな水平磁場の小規模浮上現象の兆候は、可視光望遠鏡の偏光分光装置の観測で捉えられており、現在データ解析とシミュレーション結果の比較に取り組んでいる。 またケンブリッジ滞在中はMason博士らのグループと協力してフィラメント噴出現象の多波長データ解析による研究にも取り組んだ。18年7-9月にはドイツ・マックスプランク太陽系研究所に滞在し、Schuessler教授らの協力のもと、対流のシミュレーションにおける光球の輻射輸送の取り扱いの影響について吟味した。
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