2006 Fiscal Year Annual Research Report
適合格子分割法を用いた大規模並列計算機による天体形成過程の解明
Project/Area Number |
05J10511
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢作 日出樹 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 重力多体法 / 適合格子分割法 / 銀河形成 / 球状星団 / 宇宙論 |
Research Abstract |
地球シミュレータを使い、粒子数1024^3の宇宙論的N体シミュレーションを現在実行中である。年度の初めは、計算が進まなくなってしまい、その原因究明に非常に多くの時間を使ったが解明できず、一時はは原因究明を中断し他の研究を行った。しかし、年明けには原因が判明し、現在も計算を続行中である。 また、その一方で、銀河団内の銀河に属していない球状星団(ICGC)の性質を、幾つかの仮定を置きながら、宇宙論的N体シミュレーションの結果を使い調べた。我々の仮定では球状星団は全て銀河で生まれたことにしているが、そうだとしても、銀河団の球状星団の約3割はどの銀河にも属さないICGCとなることが分かった。また、この約3割という数字は銀河団の質量にはよらずに一定であることも分かった。また、ICGCの空間分布は射影した二次元面上でおおよそ冪分布することがわかり、その羃は-1から-2の間であることも分かった。また、銀河団の単位質量あたりの球状星団数、特性頻度、は銀河団の質量に比例して高くなることも分かった。 更に、ACDMモデルは、構造形成や宇宙論の分野では標準モデルとされているが、その欠点として、形成されるダークハロー内のサブハローの数が多い、という問題がある。そこで、ダークハロー内のサブハローの性質を調べるために、サブハローの長軸の向きとそのサブハローの親ハローの中心からの位置との間の角度の分布を調べた。その結果は、観測された銀河団内での楕円銀河の長軸の向きと位置の角度の分布に比べて、向きが揃う方向に強い相関がでた。このシミュレーションの強すぎる相関は、サブハローの中心付近の粒子だけを使って長軸を計算すると、観測に近い相関が得られることから、楕円銀河の向きはそのハローの中心付近の長軸と沿っていると考えられる。
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Research Products
(2 results)