2006 Fiscal Year Annual Research Report
対数的幾何に於けるK群及びモチーフの構成とその代数サイクルへの応用
Project/Area Number |
05J10533
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩原 啓 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 代数的K理論 / 代数的サイクル / 対数的幾何学 |
Research Abstract |
古典的な代数的K群の対数的幾何学に於ける類似の一つであるKummer etale K群のRiemann-Rochの定理について考察した。具体的には以下の通りである。 一般に対数的スキームが与えられたとき、それに伴うKummer etale環付トポスが考えられ、更にこの上のベクトル束のなる完全圏からK群が定義される。これがKummer etale K群であり、古典的な代数的K群の一つの拡張となっている。 0次Kummer etale K群には、古典的な代数的K群に於けるのと同様、ベクトル束のテンソル及び外積によって、λ環と呼ばれる代数構造が自然に入る。 古典的なK理論に於いては、このλ環構造によってK群及びそのgraded版との間にChern類写像というべき写像が定義でき、これをTodd類で修正して得られる写像が代数多様体間の固有射に関して函手的に振舞うという形で古典的なRiemann-Rochの定理を定式化し、証明することが出来る。 一方、Kummer etale K群に関してもそのλ環構造は現在ある程度まで知られているので、それを用いて特別なクラスの対数的多様体に対しては上記の拡張であるKummer etale K群とそのgraded版との間の写像を構成でき、この写像のある種の対数的固有射に関する函手性として対数的Riemann-Rochの定理を定式化できる。 今年度は、この定理の証明を特別な場合に、具体的には、底空間が自明対数構造を持つ代数閉体のスペクトラムで、射が固有スムーズ且つ対数的スムーズの場合に得ることが出来た。
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