2006 Fiscal Year Annual Research Report
オリビン格子選択配向に対する水の効果と地震波異方性から読む沈み込み帯での水の分布
Project/Area Number |
05J10538
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片山 郁夫 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | オリビン / 格子選択配向 / 地震波異方性 / 含水量 / 沈み込み帯 |
Research Abstract |
水は融解温度や塑性強度のみならず地震波伝播特性においても重要な役割をする。近年、地球内部において地震波の異方性が数多く報告されるようになったが、その解釈としては弾性的に異方性を持つ鉱物が選択的に配向している為と考えられている(たとえばSilver,1996)。鉱物がどのような向きに配向するかは結晶中の最もすべり易い面と方向(スリップシステム)が決めている。従来の研究では、物理的条件(例えば、歪み速度や温度)がスリップシステムを決定していると考えられていたが、近年の唐戸研究室の成果では鉱物中に取り込まれる微量の水がオリビンのスリップシステムに対し重要な役割を果たすことが報告された(Jung and Karato,2001)。しかしながら、従来の実験は高温条件(>1473K)に限られていたためこの結果を地球内部に応用するには温度の効果を調べる必要があった。我々は高圧変形試験機を用いて含水条件下でのオリビン選択配向に対する温度の効果を調べた結果、沈み込み帯で予想される低温条件(<1000K)では[001]方位(010)面の選択配向が卓越することが分かった(Katayama and Karato 2006)。このタイプの選択配向は無水条件で卓越する選択配向と全く異なる地震波異方性の特徴を持つ。東北日本などの沈み込み帯で観察される海溝に平行な横波偏向異方性は無水条件で卓越するオリビン選択配向とは矛盾していたが、低温含水条件で安定な[001](010)の選択配向は沈み込み帯で見られる異方性を調和的に説明することができる。
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Research Products
(3 results)