2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J10566
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 基 東京大学, 宇宙線研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超対称模型 |
Research Abstract |
本年度は、これまで研究が行われてきた模型とは異なるタイプの新しい超対称模型における現象論的、および宇宙論的性質に関する研究を行った。この超対称模型は、非常に高いエネルギースケールで実現されていると考えられている超ひも理論から導かれる、加速器実験により到達可能なエネルギースケールにおける有効理論の中で、現在最も有望であると考えられているもののひとつである。私は共同研究者とともに、まずこの模型が現在すでに加速器実験から知られている性質を非常に良く満たすことを指摘した。実際、これまで知られている多くの模型が予言するモジュライとよばれる粒子を含む模型の中で、現在の実験の観測結果から示唆される性質をこの新しいタイプの超対称模型が自然に満たし、更に広いクラスの模型を考えた際に逆にこの模型だけがその性質を持ちうることを指摘した。 次に、この模型から予言される粒子の加速器におけるシグナルの特徴を調べた。特に我々は近い将来LHC実験により観測されると考えられている超対称粒子の質量分布に注目し、この分布が通常の超対称模型とは異なる非常に特徴的な性質を持つことを指摘した。このような超対称粒子の質量分布は、超対称模型におけるフレーバーの構造の起源を正に反映するものであり、新しいタイプの分布が予言されたということはフレーバーの理解において重要であるといえる。 更に、この新しい模型の宇宙論における性質を我々は調べた。超対称模型は、現在知られている標準宇宙論と非常に相性が良いことがすでに知られている。特に宇宙論最大の謎のひとつである暗黒物質の正体に対して、超対称模型は非常に有望なひとつの解を与えることが知られている。しかしながら、正しく現在の観測結果を説明するために徒来の超対称模型はパラメータに大きなチューニングが必要であった。それに対して今回解析を行った新しい模型では、暗黒物質がそのようなチューニングを必要としない粒子であることを我々は指摘した。
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Research Products
(1 results)