2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J10568
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柿崎 充 東京大学, 宇宙線研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超対称模型 / 超対称大統一模型 / 余剰次元模型 / 世代混合 / 冷たい暗黒物質 / ハドロン電気双極子能率 / CP対称性の破れ / 弱い相互作用をする粒子(WIMP) |
Research Abstract |
高エネルギー物理学実験、宇宙観測の結果が、素粒子標準模型を超えた物理模型に与える制限、初期宇宙の歴史に及ぼず影響に関する研究を行った。主な成果は以下の通りである。 大統一対称性及び超対称性が共に余剰次元における境界条件により破れるオービフォールド大統一模型は、通常の超対称大統一理論の持つ様々な困難を解決することから、標準模型を超えた理論のよい候補となっている。我々は、通常の四次元時空に基づく超対称大統一模型と異なり、オービフォールド大統一模型では、CP対称性を破るスカラーアップクォークの世代混合がハドロン電気双極子能率に大いに寄与することを指摘した。そして、現在のハドロン双極子能率実験から得られるこの模型に対する制限は、レプトンフレーバーを破るミュー粒子の崩壊実験からの制限と同程度であることを示した。 冷たい暗黒物質のよい候補である安定な弱い相互作用をする粒子(WIMP)の残存量の評価を様々な仮定の下で行った。総ての標準模型の粒子が余剰次元を伝播する模型では、最も軽い第一励起粒子が、時空の構造に起因するパリティ対称性により安定であるためWIMPとなる。我々は既に第二励起粒子による共鳴の効果が残存量を減少させることを指摘してきたが、これをさらに発展させ、共鳴の効果に加えWIMPに次いで軽い粒子とのコアニヒレーションの効果も取り入れた残存量の計算を行った。 また、模型を仮定せず、インフレーションの後の再加熱温度が低く、WIMPが完全には熱平衡に達しない場合の残存量の解析を行い、厳密な数値解を非常によく再現する近似的解析解を得た。WIMPが熱平衡であった場合でも我々の得た近似解は数パーセントの精度で数値解と一致する。さらに、同様の結論はWIMPに崩壊するより重い粒子の存在を仮定した場合にも適用できることを示した。
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Research Products
(3 results)