2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J10568
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柿崎 充 東京大学, 宇宙船研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 初期宇宙 / 暗黒物質 / 残存量 / 余剰次元模型 / LKP / 共鳴 / 再加熱温度 / ハッブルパラメータ |
Research Abstract |
近年の宇宙論パラメータの精密測定の成功により、素粒子標準模型を超えた物理模型及び初期宇宙歴史に対して有意な制限が得られるようになった。そのため、暗黒物質候補粒手を持つ素粒子模型におけるその残存量の評価は、許されるパラメータ領域を絞り込み、世代(フレーバー)の構造を反映する諸現象をより詳細に予言する上で重要になってきている。このことを念頭に置き、本年度は専ら海外において、宇宙論的観点から以下のように研究を遂行した。 総ての標準模型の粒子が余剰次元を伝播する類の余剰次元模型においては、最も軽い第一励起粒子(LKP)が時空の構造に起因するパリティ対称性により安定であるため、暗黒物質候補粒子となり得る。我々は従来から、初期宇宙におけるLKPの対消滅過程においては第二励起粒子による共鳴の効果のためLKPの残存量が変更を受けることを指摘してきたが、これをさらに発展させ、他の第一励起粒子との総てのコアニヒレーション過程においても共鳴の効果を取り入れて、より信頼のできる計を行った。この効果により宇宙論的に許される余剰次元のエネルギースケールの領域が大いに広がることを示した。 暗黒物質の残存量は、候補粒子の消滅断面積のみならず、インフレーション後の輻射優勢時代の最高温度、ハッブルパラメータにも依存することに着目し、これらの物理量に対する残存量の依存性を調べた。具体的には、再加熱温度が極めて低い場合には暗黒物質粒子が熱平衡に達しないことを踏まえて、残存量の観測値を説明できる輻射優勢時代の最大温度の下限を求めた。また、暗黒物質粒子が輻射優勢の時期に熱平衡から逸脱したとする標準的なシナリオに留まらず、様々な形に拡張されたハッブルパラメータの下で残存量の評価を行った。そして、各々のシナリオにおいて厳密な数値解と数パーセントの精度で一致する近似的な解の公式を求めた
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Research Products
(2 results)