2006 Fiscal Year Annual Research Report
インフレーション宇宙における密度揺らぎの進化と物質及び暗黒物質の起源
Project/Area Number |
05J10570
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 史宜 東京大学, 宇宙線研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | グラヴィティーノ / モヂュライ / インフラトン / 超対称性 |
Research Abstract |
本年度は、まずモヂュライからのグラビティーノ生成が、従来考えられていたよりもずっと大きなレートで起こる事を示した。これまではモヂュライ質量を100TeV以上にすればビッグバン元素合成前に崩壊し、問題がないと考えられてきた。しかしながら、我々の発見により、モヂュライ質量を重くするだけでは一般にモヂュライ問題は解けないことが明らかになった。この発見は非常に重要で、モヂュライのstabilization機構に対して強い制限を課す。更に、インフラトンからもグラビティーノを作られる事を示した。この発見によって超重力理論における多くのインフレーションモデルを制限することに成功した。特に、ハイブリッドインフレーション、スムーズハイブリッドインフレーションモデルなどの高エネルギーインフレションモデルに対して激しい制限を課した。また、同時に超対称性の破れを伝える機構に制限を課す。特に、グラビティーメディエイションはほぼ排除された。更に、インフラトンが一般的に超重力効果によってビジブルセクターに崩壊することを発見した。これによりインフラトンによる再加熱が相互作用を手で入れなくても自然に起こることが分かった。従来、再加熱はインフラトンセクターとビジブルセクターの間の相互作用を手で入れて起こすしかないと考えられていたために、フリーパラメターとして扱われてきた。しかしながら、超重力効果による相互作用を通じた再加熱プロセスの発見により、フリーパラメターはなく、インフレーションモデルを決めれば再加熱温度の下限が決まることが分かった。
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Research Products
(5 results)